インドクリスタル 篠田節子

長編だったが、入り込んで一気に読んだ。
インドという国の根底には、ゆるぎないカースト制度がある。
それは、たぶん差別という認識がなされないほどの当然の有り様なのだ。
そのカーストに属さない原住民の崇高な魂はカースト上位の人たちやNGO組織に翻弄されていく。
幼いころに生き神様に選ばれ、隔絶された世界で成長した少女は初潮を迎えると、突然任を解かれる。
家族を反政府軍によって殺された彼女は自爆テロの弾頭として送り込まれるが、起爆装置の不具合で一命をとりとめ、
宇宙開発を担う新たな鉱石(インドクリスタル)を得るためにインド奥地に入る鉱石ハンターによって、高い知能を見出され新たな人生を歩みだしたかのように物語は進む。
多くの登場人物と絡み合う思惑と利害。
政治的背景と奥深い自然崇拝。
NGO活動の奥にある、西欧諸国のおごりと優越感。
状況が一転二転し、最後まで気が抜けず鼓動を感じたままだった。
人間の幸せの形はみんなちがう。
世界は広いし、多くの人がおかれた土地で幸せを紡いでいくのだと思った。
今まで読んだことのないジャンルでとても新鮮だった。
爽快というのではないけれど、自分の世界が広がったのを感じた。
このブログへのコメントはmuragonユーザー限定です。